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お酒のお供

お酒を飲みながら読んだら確実に悪酔いします。

『教習所にて』#0

漢(おとこ)の妄想特集『教習所にて』

〈本特集の目次めいたもの〉

この特集では、記事をナンバリングして分けています。「#0」などの文字部分をクリックするとその記事に飛ぶようになっているはずです。記事内容はそれぞれの番号の下に付けた紹介を参考にしてください。

〔#0〕

この記事です。目次と序文めいたものが書いてあります。

#1

教習所の教官になろうとする人って、どういう志望動機を持っているんだろう? そんな疑問に真っ正面から答えた記事です。

 

 

〈本特集の序文めいたもの〉

何となく感じていました。以前書いていたブログでは記事のネタが次々に思いついたのに、このブログを始めてからは筆が進まないなぁ、と。

私が自分なりに分析してみると、以前のブログには全体を通じたある程度のコンセプトがあったのに対して(おそらく当時の読者は気付いていなかったと思います。でも、筆者としては一定の基準のもとに書いていたのです)、このブログでは"自由論題"で書こうと決めて始めたという違いがありました。そうか、今回のブログは自由すぎて何を書けばいいのか自分でも分からなくなっていたのか。

そんなわけで、この期に及んで方針転換。本ブログのコンセプトは、「連載記事の集合体」として再発進します。要は、孤軍奮闘就活日記!のような形で進めていくというわけです。そして今回の連載は、こちら!

漢(おとこ)の妄想特集『教習所にて』

漢を「おとこ」と読むのがポイントですよ。この連載では、現在教習所に通っている私が、「教習所内でこんなことが起きていたりして」と妄想したストーリーを書いていくことにします。

乞うご期待!!

 

※この「序文めいたもの」はノンフィクションです。

孤軍奮闘就活日記!(外伝編:いわゆる「リクラブ」)

集中連載『孤軍奮闘就活日記!』 外伝

「孤軍奮闘就活日記!」の目次はこちら

 

こんにちは。

 

前回の記事は文量も多く、書く方も読む方も大変な内容となってしまいました。今回は「リクラブ」についての記事ですから、うってかわって軽い文体で行こうと思っております。ちなみに、前回のようなまどろっこしい記事には「考察」というカテゴリータグを付けるようにしています。

 

さて、時は遡って今年の1月。当時、塾のアルバイト講師として冬期講習に臨んでいました。毎日朝から何時間も授業を行う中で、唯一ともいうべき楽しみだったのはランチタイムでした。同僚講師や生徒たちと和気藹々とお昼ご飯を食べるわけです。

ある日、最も仲が良かった(と私は信じている)講師から、こんな話を聞きました。

就活中って、恋愛しやすいらしいですよ。知り合いが言ってました。

「えっ! 彼女できちゃうんですか!」と驚きつつも、私は非常に大きな期待を膨らましたのでございます。……ふふふ。遂に俺の時代が来たか……。

就活中の恋愛、通称「リクラブ」ですね。語感からして、recruitとloveを組み合わせた和製英語と思われます。もう、ドキドキしちゃいますね。

「どんな業界を見てるんですか?」

「私は……百貨店とかですね」

「百貨店? デパートですか!」

「はい。デパートの雰囲気好きなんですよね。化粧品売り場とかときめいちゃって」

「女の子、って感じですね。……あっ。女の子っぽいとかってセクハラになっちゃうんですかね!?」

「うふふ、大丈夫ですよ! 私、女の子らしいって言われるの好きなので」

「それならよかった。……そうだ、このあと、暇あったりします?」

「あります! っていうか、今それ私も言おうとしてました……」(頬を赤らめる)

「……そうか……。君も同じ事を考えていたのか……。これが運命っていうことなのかな」

「運……命……」

「ごらん、あの夕焼けを。暖かい色をしているじゃないか。まるで僕らを包み込むような……」

「……お名前、聞いてもいいですか……」

「……ふっ。名乗るほどのものではないが、そうだな、これから二人で逢うことも多くなるだろうし教えておくか。私はPenだ」

「Penさん、ですね。……私は、カオリっていいます!よろしくお願いします」(赤い頬が夕日に照らされて、燃えるような色になる)

「……カオリ。今日の夜は何を食べようか。記念すべき夜だぜ」

「記念だなんて……もう。エッチなんだからっ」(目をうつむかせる)

「ハハハ。ごめんごめん。君の好きなものを食べようじゃないか。……ところで、何がエッチなんだ?」

「何がエッチだったのか自分でもよく分からないけど、とりあえず私、お芋が食べたい」

「イモ!? ……分かったよ。焼き芋でも食べようか」

――そして二人は、夜の街に消えていったのだった――。

 

はい。

実際に就活してみれば分かりますが、リクラブなんてよほどの美男美女でお互いに積極的じゃないと起こりません。当然のことながら初対面の二人が、ほとんど一目惚れに近い形で好意を寄せ始め、更に逢瀬を重ねることで恋に結びつくわけですからね。たまたまバスで隣り合わせになったり選考のときにかわいい子と話したりしても、なかなかラブには行き着かないのです。ま、ただ私が魅力的じゃないだけかもしれませんが。……って、何言わせとんじゃい。

 

ただ、私が就活中に女の子との関わりがなかったかといえばそうではないという事実。どーん。

あれは7月頃だったでしょうか。

だんだんと蝉が鳴き始め、夏も盛りに近づく頃。私は相変わらず企業回りに一生懸命になっていました。

「……ったく、毎日暑いな……。まだ次の面接までには2時間ぐらいあるし、喫茶店にでも入って涼むか……」

カラーンコローン。喫茶店のドアを開けます。「いらっしゃいませ、お一人でよろしいですか」という店員の声。それだけで涼やかな気分になるというものです。

「さて、何を飲もうかにゃ」

メニューを開きますが、私が喫茶店に入ったら頼むものは一つしかありません。レモンティーです。レモンの爽やかな味と紅茶の深み。夏でもホットで頼むのがイケメン兄さん・Penの流儀というものです。

「すみません」

「ご注文お決まりですか」

そこでやって来たのがかわいい女の子です。私は何故かカッコつけてしまって、レモンティーのレの字も出さずに、

「エスプレッソで」

ちなみに、私がカッコつける時はエスプレッソを飲みます。これは高校時代からずっと変わらぬこだわりです。だって、カッコいいじゃないですか。エスプレッソっていう響きが。過去に私が書いた小説でも、主人公が女の子の前でキメようとしてエスプレッソを頼むという場面を書いてしまったほどです。

「エスプレッソですね。かしこまりました!」

エスプレッソ、ワンプリーズ。と言ったかどうかは知りませんが、とりあえず注文は完了。またあのウェイトレスさんが来てくれたらいいのになぁーなんて考えていたら、隣にお客さんが来ました。リクルートスーツを着た女性です。なんとなくいい香りがします。きっとどうせ二度と会わない相手、ここは一発話しかけてみましょうかね。面接の運試しじゃ。

「……就活生……ですか?」

「あっ、そうです」

うーん、引きが弱いな。モウチョイ話しかけてみるか。

グァ~~~~。エスプレッソマシン、もう少し静かにしてくれ。雰囲気ぶち壊しだよ。

「じゃあ大学4年……」

「そうなんですよ。まだ内定もらえてなくて」

「僕もまだ内定とってないんですよ」

そんな話をしていると、先程のかわいいウェイトレスがエスプレッソを持ってきました。

「エスプレッソお待たせいたしました~」

私は既に隣の就活生に注意が向いているので、どうせ恋の進展なんて期待できなさそうなウェイトレスにはここでお別れ。

「ありがとうございます」

すると、隣の就活生が話しかけてきました。

「どんな業界見てるんですか?」

「食品と機械のメーカーが中心、っていう感じですかね~」

「へー、そうなんですか! 私も今、機械メーカー見てて」

「偶然ですね。僕、これから面接なんですよ」

「もしかして、××社ですか?」

「何でわかったんですか!」

「私も今日面接なので……」

なんという奇跡。これは何かの運命に違いありません。

「席、そっちに移ってもいいですか?」

「どうぞどうぞ。まあ、私あと15分ぐらいしたら出るんですけどね」

向かい側の席に置いていたバッグを自分の方に持ってきながら、彼女は微笑みました。空いたその席に腰掛けて、私は話を続けます。

「何時からの回の面接ですか?」

「14時ちょうどです」

私より1時間も早いではありませんか。私が着くのが早すぎたのが悪いのですが。その後は「就活、大変ですよね~」なんて他愛もない話をしていました。

「あっ。連絡先とか交換しておきます?」

あたかも、Penさん私と連絡取り合いたいでしょ?と言わんばかりの言い方です。見透かされた気がしてドギマギしていると、彼女は続けました。

「業界が同じだから、話も合うかもしれないし」

「そうですね」

まるでドラマのような予定調和。しかしここからが現実味を帯びてくるところです。私の連絡先はこれです、と言って渡された紙に書かれていたのが、こんなモノでした。

"xxxx245@pen-univ.ac.jp"

大学の学内メールアドレスじゃねえかっ!! それを見て、私も察しました。本当に就活中だけの関係で終わらせたいのね。こちらも同様に大学のメールアドレスを書いて渡しました。

彼女が喫茶店を出て行ってからしばらくして、私も会計を済ませました。夏の強い日差しが、私を包み込んでいた「リクラブの妄想」から抜け出させてくれた気がしました。これが冬の北風だったら、クリスマスなんかを意識してしまって、余計に妄想が膨らんでしまっていたかもしれません。

 

これを「リクラブ」なんて言ったら怒られてしまいそうですね。結局、彼女とはその日のうちに5、6通のメールのやり取りをして以降、関係は途切れてしまいました。まあ、そんなものなんでしょうねぇ。特に寂しい気がしたわけでもありませんし、一日ぐらいこういう日があるのもリラックスには良いかもしれません。

でも、リクラブはリクラブで、成功すれば心の安らぎになる気がします。就活中は孤独ですからね。実際に、恋人がいる人が羨ましかったこともありました。無理に恋人を作る必要はないでしょうけれど、愛の力は絶大ですからね。きっと力になることでしょう。

最後に、私が好きな作家の一人であるサマセット・モーム(William Somerset Maugham)の名言を一つ。

The love that lasts the longest is the love that is never returned.

最も長く続く愛とは、決して報われない恋である。(訳: Pen)

片想いが一番長く続く愛なんですって。モームは皮肉っぽい名言が多い人ですが、どれもいい得て妙なんですよね。確かに、私も就活中に、「一度しか会っていないあの子」と一緒に入社したい、みたいなことでモチベーションを上げていたことがあります。

あっ。エッチですね。何がエッチなんだ? 自分でもよく分からないけど。

 

━━━━━━━━━━━━━━

集中連載としての「孤軍奮闘就活日記!」は、これで終了となります。短期連載のつもりで書き始めたこのシリーズでしたが、振り返ってみれば最初の記事の投稿日は9月26日。随分長らく続けていたようです。

今後は再び自由論題で記事を書いていくこととします。笑いあり、涙ありのブログを作っていく予定ですので(自分でハードルを上げてしまった)、今後ともよろしくお願いしますね。

孤軍奮闘就活日記!(外伝編:「学校か人物か」に関する考察)

集中連載『孤軍奮闘就活日記!』 外伝 考察

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こんにちは。

長らく連載していた「孤軍奮闘就活日記!」ですが、残りの8月・9月(内定月)に関してはあまりトピックがなく、書き残す必要がなさそうだと判断しました。そこで、これまでの時系列的な記述とは別に、「外伝編」として就活中に感じたことを書いていくことにします。

その最初(「外伝編」がいくつ続くか分かりませんが)のテーマが、「学校か人物か」ということなのです。すなわち、求人者が求職者の出身校を見るのか、それとも求職者自身の人物を見るのか、という点です。現実的には答えは「人物」ということになるのですが、これについて一度立ち止まって考えてみたいと思います。

 

知人の発言

私が「学校か人物か」ということを意識し始めたきっかけは、ある日食事を共にしたときの知人の話です。私は就活真っ只中、彼は就活終了というタイミング。彼の発言要旨は下のようなものでした。ちなみに彼は早慶大(どちらとは言いませんがどちらかです)に通っています。

 Penが内定とれないのって、○○大だからじゃね?
自分で言うのもあれだけど、早慶、せめてMARCHぐらいじゃないと就活厳しい気がする。正直、○○大よりも早慶・MARCHの方がレベル高いっしょ。

完全に学校重視の発言です。ただ、それにしても個人的には納得がいくものではありませんでした。というのも、私の大学は国立大ですが、大半の学生が滑り止めとして早慶を受けているためです。それにもかかわらず、私の大学よりも早慶の方が「レベル高い」ことが自明であるかのように言われることにもどかしさを覚えました。

もちろん、逆に私の大学が早慶よりも「レベル高い」と言うつもりは毛頭ありません。ただ、「早慶」(あるいは「MARCH」)というブランドに頼って他の大学を蔑視する態度に不快感を感じたのは言うまでもないことだったのです。一瞬のその感情の動きに任せて、私は少し反論してしまいました。私も個人の感情に走ってしまった部分はあったにしても、これに対する彼の答えが再び耳に障るものでした。

は?

Penが落ちる理由、いま分かったよ。「人物重視の選考」だからだな。人物に問題があるから落とされるんだよ。

彼は「学校重視」と「人物重視」という双方を言っているため、突き詰めていくと論理上無理があります*1。とはいえ、それからというもの、私の中には疑問が生まれ始めました。

――「学校重視」か「人物重視」か。実際の選考の上で、どちらを採ることが適切に選抜していると言えるのか分からなくなってきてしまったのです。

 

現状の印象

実際に就職活動をしてみて、現在の企業の求人活動・選考活動がどのような状況にあるかを確認しておきます。多くの会社は人物重視を掲げていますが、その中で大別すると、「人物重視を基本とした総合型」と「完全人物重視型」という二つに分けられそうです。

人物重視を基本とした総合型

まず「総合型」ですが、これは書類選考・グループディスカッション(グループワーク)・適性試験*2・面接などを織り混ぜながら、それぞれの段階で選抜していく形式を指すことにします。この形式を採っている企業は多いように感じます。

一見、非常に適切に選抜されているような形であり、現状ではこれが最も適切な方法だと思われます。しかし、これに対して両手を挙げて賛成しきれないからこそこの記事を書いているわけです。というのも、形式上「総合型」であったとしても人物重視を基本としている限りは面接段階にかなりのウェイトが置かれているからです。詳しくは後述しますが、この方式にも些かの問題があると考えています。

完全人物重視型

他方のこちらは、人物重視に"偏る"というものではなく、完全に人物重視の選考を行うという形式です。

私自身もこのタイプの選考を何社となく受けました。3回~5回程度面接を行うことで、就活生の人となりを知ろうとするという建前で実施するので、1対1の面接が1次面接から最終面接まで続いたりすることも少なくありません。1次面接では多くの応募者を見なくてはなりませんが、それでもしっかりとした基準に則って選抜されているのでしょうか。疑問です。

加えて、応募者がどのような学校に属しているかということに注目する企業も皆無ではないようです。まず、これらの「学校重視」と「人物重視」双方の意義と弊害について考察していきます。

 

「学校重視」の意義と弊害

就職活動というのは就職希望者(求職者)の側から見たときの言葉ですが、これを採用者からの側面で言うならば求人活動ということになります。「求人」とは字義上「(適した)人を求める」ことですから、一定の基準を満たした人を採用することが目標です。その基準として最も明確であり客観的であるのが「学力」でしょう。

では、その学力をどう測るか。その方法として最も手早いのは出身校で判断することでしょう。誰もが同じく受験勉強をする中で高いレベルに到達するということは、それなりの努力と能力を持っていることの証明になるはずです。

しかし、ここで注意が必要なのは「難関校の出身⇒学力が高い」は一定の確度を期待できる一方で、「相対的に高くないレベルの学校の出身⇒相対的に学力が低い」とは限らないという点です。何らかの理由があって実力よりもレベルを下げて入学している可能性は否定できないためです。従って、履歴書上の出身校のみでは本人の学力は必ずしも測れないということになります。

従って、「学校重視」の選抜は事実上意味がないものになります。このような経緯から、表面的には*3履歴書上の出身校で選抜をする企業は少ないのだと考えられます。

そもそも学力主義ということ自体に時代遅れ感を抱かせる空気があるのは事実です。大学の入学者選抜でさえ、得点ではなく段階付けによる評価をしようとする動きや推薦入試に再び目をつけようとする雰囲気があるのですから。ここでは「学校重視」は意義を弊害が上回っており選抜方法としては適切とは言えない、と結論づけておくことにしましょう。

 

「人物重視」の意義と弊害

「学校重視」に限界があることを確認した今では、「人物重視」に軍配をあげたいところですが、ここは一つ、やはり立ち止まって考えてみます。

実際に就職活動をしていると、多くの会社が「当社は人物重視の面接を行います」「大学なんて関係ありません!」というような文言を大々的に掲げていることがすぐに分かります。これは就活生に対して敷居をとても低くしてくれる言葉のように見えます。成績が良くなくても、大学そっちのけでバイト漬けの学生生活を送っていても、人物そのものが光っていれば採用してくれる、という希望を感じさせます。それこそ出身校にコンプレックスを抱えている人でも構えることなく参加することができるのです。

さて、実際の選考について考えてみます。全てとも言うべき数の会社が、選考のどこかの段階で面接を行います。書類選考でその人物を判断できるはずはありませんから、人物重視というのはこの面接段階での話になります。

さて、面接官はどのようにして合否を決めるのでしょうか。すぐに思いつくのは、いくつかの判断項目を設定して、それにどれほど合致しているかを見る方法です。質問に明確に答えているか、ハキハキと話しているか、姿勢は美しいか、などです。しかし、これだけに頼ることは人物重視には馴染まないことは言うまでもありません。「人物重視」の意義は、面接対策で完全に装備した人間や型にはまった人間ではなく、対策では培うことのできない個性が光る人間を見つけることにあるからです。事前に想定される判断項目だけではない、プラスアルファの要素を見つけるからこそ求職者の「人物」を見ていることになるはずです。

そうなると、面接官対求職者の1対1の空間の中で*4醸成される「目に見えないもの」が合否ラインになっていると言わざるを得ません。面接官が受ける印象や感情、更に言えば面接官の好みなども相俟って合否を決定している部分が大きいわけです。そうでなくては人物「重視」とは言えません。

さて、「人物重視」は公正な方法と言えるでしょうか。学力主義を採る一つのメリットは、基準が明確で客観的である点にありましたが、この要素が「人物重視」では排除されているように思えるのです。

就職活動の中では、「顔採用」という言葉にも時折出会います。つまり女性であれば「かわいいから採用」、男性であれば「かっこいいから採用」というわけですが、これも強ち都市伝説とは言えないでしょう。人物重視の面接では全ては「面接官が判断した求職者の人物像」に委ねられるわけですから、言うなればビジュアル重視の面接官がいても何ら不思議はありません*5

あたかも魔法の言葉のように多用されている「人物重視の選考」ですが、公正性という点から考えると、魔法のように欠点がないということではないと言えそうです。

 

公正な選考の検討(結に代えて)

つい最近まで選考を受けていた私が、選考する側の話をするのは少し僭越である気はするのですが、ここまで論じてきた勢いで意見を書き切ってしまおうと思います。

以上では、出身校で判断する方法と人物像で判断する方法のそれぞれの意義と弊害を述べてきました。ただ、現実の選考の中で出身校のみを基準にしている企業はあったとしてもごくわずかだと考えられます。このセクションでは、先述の「人物重視を基本とした総合型」すなわち様々な選考形式を利用しながら合否を決していく方式の改善の余地について考えていきたいと思います。

「総合型」の検討

この選考法が一定数以上の企業で用いられているのは、それこそ総合的に応募者の実力を見ることができると考えられているためだと思います。しかし、敢えて私は「実力を測るには不十分」と評価したいのです。

一旦、「なぜ企業が応募者を選ぶのか」という根本を考え直してみます。当然、「応募者全員を採用することができないから」という回答が適当でしょう。それでは、なぜ抽選などの方法ではなく面接などを行うのか、という点の答えは? それはおそらく「入社してから働いてくれる人を採用したいから」。そして、その中でも「成果*6を上げそうな人」を選びたいというのはどの企業でも共通しているように思います。優等生的に結論するならば「コミュニケーションを適切に取りながら与えられた業務に懸命に勤しみ、更なる高みを求められる人」ということになるかもしれません。

その割に、実際の選考では「仕事ができるかどうか」という部分にあまり重きが置かれていない(ように見える)のは不思議です。どこもかしこも面接ばかりを繰り返し、「求める能力像」として「コミュニケーション能力」の高さを欠かさない。意志疎通を図ることができることは不可欠であるにしても、あまりにもその部分に傾斜しすぎているのではないかと感じます。

海外での求人活動においては、他人との協調の中で一つのものを作り上げる過程での様子を見ようとする工夫がより強く見られます。グループ分けした応募者にブロックで課題に沿ったモノを組み立てさせたり、インターンシップで採用の意思を伝えてしまったり*7。日本でも、もっと実用的な力を見る選考が流行るといいですね。

適性試験の問題点

現在、「適性試験」などの名でテストを行っている企業の多くに関しても、その運用が疑問です。適性試験を実施する非常に高い割合の企業がいわゆるwebテスト*8を利用していますが、これは当然のことながら不正が可能です。インターネットで検索すれば、いかに世間の大学生が不正の下でwebテストに臨んでいるかがすぐに分かります。友人などと協力しながら解くなどのケースはかなり多いようです。一方の私は意地でも一人で解いてやる、という気持ちで取り組んでいたのですが、誰がどう考えても不正解答者に正答率で勝てるはずがありません。したがって、私はwebテストの段階で落とされて当たり前です。ところが私は落とされたことがありません。これは問題だと思いませんか。応募者数が定員の何百倍というような大手企業でも同じですから、かなり「緩い」合否基準なのだと推測されます。これに対しては「不正をすることを見越しているからこそ、高得点者だけを受からせることはできない(=正直に一人で解いた人への配慮をしている)」という理由付けがなされるのかもしれませんが、本末転倒でしょう。これではテストの意味をなしていません。高校の定期テストで、「カンニング黙認状態にする代わりに、当初から全員に30点ずつ与える」みたいなルールがあったらおかしいのと同じだと思います。

上のような不正を防きながら大人数の応募者に対応する方法は、現行の制度のなかに既にあります(当然ですね)。それが、各所に設けられた試験会場で試験を受けさせる方式(テストセンター)です。ただ、このタイプの受験をさせる企業はあまり多くないのが現状です。その理由は単純に、テストセンターはwebテストに比べて企業の費用負担が大きいからです*9。業者に委託すると、このような費用が発生するのが難点とも言えるかもしれません。

それなら業者に委託しなければよいのです。自社でテストを作成し、それを解かせれば必要最低限で済むわけです。おそらくこれも、企業の側からすると難しいのでしょう。問題作成に費やすことのできる暇はない、暇はあってもテスト問題を作る手間が煩わしい、どんな問題を作ればよいか分からない、 作ったとしても採点が面倒くさい。私自身も、このようなテストは内定先の企業でしか受けたことがありません*10ので、あまり現実的な方法ではないと思われます。

こうなると、適性試験というものを実施すること自体に難しさがあるように思えてきます。学科試験の形骸化もやむを得ないのかもしれません。とはいえ、どことなくもどかしさを感じます。私が小学校から大学までの16年間それなりに努力して勉強してきたことは、社会人になるというこのタイミングに至っては無駄だったという気がしてしまうのです。まして、勉強嫌いの私と比べればもっと学習に力を注いできた人はたくさんいるでしょう。その人たちでさえも、「人物重視」の選考で他の人と同じスタート地点に戻されてしまうのでしょうか。

「学生の本分は勉強」はどこへ

私は大学入学以来、空白の期間なくアルバイトを続けています。アルバイト先で知り合った何人かの学生は、サークルや部活にも勤しんでいます。ただ、これとは逆に、大学で選考していることの専門性を高めようとして大学付属図書館などで夜まで講義の予復習に専念する学生もいるのは事実です。どうやらこの三者では、就職活動においては格差が出ることがあるようなのです。

インターネットや学生同士の会話のなかに、「ノンバイサー」という言葉が現れることがあります。「バイ」は「アルバイト」、「サー」は「サークル」のことで、「ノンバイサー」とはすなわち「アルバイトもせずサークルにも参加していない学生」を指す言葉です。一般的に、就職活動で最も不利なタイプだと言われています。

これは単なる噂ではないでしょう。実際に先輩などの様子を見ていて、不利なのではないかと感じられたからこそ、代々受け継がれている言葉なのだと思います。また、企業の側も面接などで「学生時代に仲間と何かを成し遂げた経験はありますか」などと頻繁に質問していることからも、集団活動の経験に重きを置いていることが推察されるわけです。

しかし、何のために大学に入るか、と言われれば本来の答えは「専門的な知識を得るため」でしょう。「なんとなく」とか「すぐに社会に出ないで遊びたいから」とか、そういう理由では動機にならないのは言うまでもありません。後者のような理由では、就職面接で志望動機を聞かれて「なんとなく会社の名前を知っていたから」などと答えるのと変わりありません。それなのに、企業はアルバイトに力を入れた学生やサークル活動に精を出した学生を、勉強に専念してきた学生よりも優遇する傾向があるというのは矛盾だと思います。

おそらく、「勉強ばかりしていました」という学生の話では「集団のなかでの役割」や「仲間と協力する力」などの観点での評価がしづらく、「人物」を重視する面接には適していないということなのだと考えられます。

では、なぜ多くの企業で高卒採用に消極的なのでしょうか。高卒者の採用といえば工場勤務が多くを占めて事務職や営業職採用が非常に少ないのです。学歴には関係なく人物に焦点を当てるならば、わざわざ4年も歳を重ねた大卒者に限る必要はないのではないかと思います。それに、大学に比べれば高校の方が日常的に団体行動をする場面が多いのですから、その方が良いようにも見えます。大学の自由な空気に触れていない分、純粋な心を持っている人は高卒者に多いかもしれません。それなのに、遊び歩いてギリギリで単位を取るような大学生でも採用しようとする理由が今一つ納得いかないところです*11

公正性

では、現状以上に公正な選考というのは存在し得ないのでしょうか。必ずあるはずです。

要は、「よくある質問」をしないことなのではないかと思います。面接で採否を決めるのは不可欠であるにしても、準備して勝ち抜ける面接は無意味です。そこで現れる人物像は応募者本人の人物像ではなく、応募者の大学の両親やキャリアセンター、はたまた市販の就活対策本の著者の考えによって固められたニセ人物像である可能性だってあるからです。対策し得ない質問、それはある意味突飛な質問かもしれませんが、それこそ応募者の臨機応変な対応、当意即妙な回答、コミュニケーション能力を測ることのできる方法だと思います。例えば、仕事でやり取りするメールのモデルでも用意して、特定の状況のときにどう返信するかを喋らせてみたらどうでしょうか。同じようなパターンでいけば、面接官が他社の担当者になりきって、ビジネストークをしてみるとか。もっと「普通の」面接内容であれば、「当社が新たな事業を起こすならばどういった事業がよいと思いますか」とか。考えればいくらでも出てきそうなものです。

――「よくある質問」ではない質問を考えるのは大変? 就活生だって一生懸命に面接に臨んでいます。人事担当者も、質問を考えるくらいは頑張ってください。仕事なんですから。(了)

*1:ここでは彼の論理にしたがって「学校」か「人物」か、ということで二項対立的に考えている。このように観点を2つとした場合、「重視」というのは一方よりも他方に重きをおくということと同値である。従って、双方を「重視」するということは理論上あり得ないことになる。

*2:テスト。多くの場合、学力検査と性格検査の2つが併せて行われる。

*3:裏で出身校による選別が行われている可能性は十分にある。東大生に対しては「空席あり」と表示される説明会が、無名の私大の学生に対しては「満席」と表示される、というような事象はまことしやかに噂され、また就職活動対策本の類にも掲載されている。また、そのような選別でなくとも、いわゆる「学閥」の存在する企業では特定の学校の出身者が有利ということはしばしばある。

*4:形式上1対1の個人面接だけではなく、複数対複数などの面接の場合も、質問-回答という部分や面接官一人ひとりが求職者一人ひとりを見ているという点では1対1である。

*5:いわば"合法的に"顔採用をしているのはテレビ局のアナウンサー採用だろう。これは、不特定多数が見るテレビでは美形のアナウンサーを出した方が視聴率も取れる、などの思惑や計算の上であると思われる。では、外回りをする営業は? このときに面接官が「美形の営業パーソンの方が注文を取りやすい」と考えるならば当然のごとく顔採用に近づくということになる。

*6:その内容がどのようなものであれ、企業にとってプラスになるもの。

*7:もちろん、日本では3月からの「説明会解禁」、6月からの「面接解禁」のような制約が存在するために、現実的には後者のようなことは難しいのは事実である。

*8:web上で解答/回答する形式のテスト。しばしば自宅などで答えることができる。

*9:リクルート実施のテストで比較すれば、webテストは受験者一人あたり4000円、テストセンターは5500円。

*10:内容は英文和訳、和文英訳、一般常識・時事。

*11:念のため付記しておくと、高卒採用を行いにくいのは、面接の質問事項が制限されているなどの大卒採用には違った難しさがあるためと言われる。

孤軍奮闘就活日記!(7月)

集中連載『孤軍奮闘就活日記!』

通称・"微"人気連載「孤軍奮闘就活日記!」の目次はこちら

 

こんにちは。

 

突然ですが、私は就活を進めるなかで最終選考に進んだ企業は19社あります。しかし、前回と前々回に書いた食品メーカーをはじめとして、このあと続々と「最終落ち」を経験していくことになるのです(17社落ちました)。とほほほほ。

ただし、7月に関しては最終選考は一つもなく、これと言って面白いトピックもないんですよ。もちろん、今後も敢えて最終選考に落ちる話ばかりをするつもりではないのですが、それでもこの月の話題性のなさといったら驚愕です。

 

まず、総論から。

7月に受けた企業は全部で5社です。これが一般的に少ないのか多いのか分かりませんが、少なくとも私自身の中では最も企業数を絞った月になりました。もしかすると、7月は意外と募集が少ないのかもしれません。2次募集という時期でもなく、"1次募集"として選考するのは6月が中心ですからね。

この頃から、志望業種を食品メーカーから機械メーカーにシフトしました。6月までの各企業の選考などの際に「食品メーカーは競争率が激しい」という話をしばしば聞いたのと、「別に食品にこだわる理由もないなぁ」と気づいたのとが大きな理由です。

印刷機メーカーや精密機器メーカーなどを回りましたが、あるときは自ら辞退し、あるときはサイレントお祈り*1され、一進一退の日々を送りました。

ひとつ言っておくと、こういう時期は落ち込むことばかりですが、当然のことながらどんどん気持ちを切り替えていった方がいいです。友達と会うとか、カラオケに行くとか。私の場合は一人で抱え込んでしまったので、精神的にひどいことになっていましたよ。

 

…はい。7月のハイライトは以上です。

 

というわけにもいかないので、とある企業で7月に出会ったかわいい女の子の話でもしますかね。いくつかエピソードがあるんですよ。胸キュンエピソードが。

え? 別に興味ない?

じゃあいいや。今日はこの辺で。たまには短くてもいいでしょ。

*1:「お祈り」とは、選考に不合格だったときに送られてくるメールなどに「~さんの一層の活躍をお祈り申し上げます」と書かれていることが多いことに由来して、不採用通知のことを指す隠語。「サイレントお祈り」とは、合否の連絡が来ないまま事実上不採用となること。

孤軍奮闘就活日記!(6月)

集中連載『孤軍奮闘就活日記!』

頑張って人気連載中の「孤軍奮闘就活日記!」の目次はこちら

 

こんにちは。

 

今回も、5月と同じ食品メーカーの選考について書いていきますよ。

 

5月31日に受けた2次選考の集団面接。自分の中ではなかなかうまくアピールできたのではないかと思っていましたが、やはりその合否連絡を待つときは緊張しました。エントリーシート通過後の説明会で出会った女の子との再会を果たすためには、少なくともこんなところで落ちているわけにはいかないのです。

前回も書いたように、選考通過の是非は選考日翌日の6月1日に発表されることになっていました。いつ来るかいつ来るかと朝からドキドキヤキモキしていましたが、思ったより早く午前10時頃にメールが。

もちろん受かっていましたよ。受かっていなかったら、この記事が続きませんからね。あーよかった。この日は他の食品メーカーの面接日でしたので、不吉な前兆とならなくてよかったです。

 

続きまして6月6日。ゾロ目デーでございます。これまた午前6時に選考開始…なんてことになったらフリーメイソンですが、さすがにそこまでブログネタになるようなことはしてくれません。事前に予約していた初回の面接時間に会社に入りました。

今回は個人面接。面接前に、控え室で「何とかかんとかシート」を書かされました。

…えっ? 何のシートだか分からないって?

要はアレですよ。趣味とか特技とか、持っている資格とか、そういう基本的なものを書くやつですよ。

やがて面接官と面接室に入り、穏やかな面接が始まりました。ほんっとに穏やかなんだから。House食品の選考って。

特に突飛な質問もされることもなく、いわゆる「人物重視」の面接だなぁと感じました。唯一トピックを挙げるとしたら、特技について聞かれたシーンでしょうか。私は特技の欄に「耳で聞いた言葉を逆から言い直すこと」と書いていました。そこで面接官がお題として出したのは、私が別の欄に書いていた「経済的な理由などもあり留学経験はありません」という言葉でした。

そこで華麗にキメるPen。「んせまりあはんけいけくがうゆりりあもどなうゆりなきていざいけ」。パッと見はカッコ悪いですが、面接官は最高に喜んでくれましたよ。

 

さて、合否はこれまで通り水曜日に通知とのこと。前回は朝にメールが来ていましたが、このときはなかなか連絡が届かず、非常にドキドキヤキモキしました(2回目)。遂にメールが来たのは夕方になってからでした。

やったぜ3次選考通過。いよいよ最終選考へのチャレンジです。…とその前に、同じ週の金曜日に「質問会」なるものを開くとのこと。いわく、「選考とは関係ありませんが、ご参加いただいてより弊社について知っていただきたく」。若手社員が来てくれて、その時点での就活生の疑問に答えてくれるとのことです。

これは参加するっきゃないでしょ。当日のバイトを休みました。

確かに色々な質問に答えてくれましたよ。前日までに練りに練った質問をぶつけまくったので、私と同じ回で質問会に出席した人々は会社についてよく知ることができたはずです。ナイス、Pen!

 

そして更に翌日。ちょっと話はずれますが、私は「外務省専門職員」の試験を受けに行きました。いわゆる外交官試験ですね。これは2日間にわたって行われる試験で、初日は憲法国際法・経済学の試験でした。私は法律専攻ということで、経済学はまさに専門外ではありましたが、「経済もできる法学エリート」を目指してメッチャクチャ勉強しました。この日の試験は無難にまとめ、引き続き2日目の試験。教養試験・時事論文試験・英文和訳・和文英訳というハードな内容でしたよ。

結果はどうだったかって? 合格発表は7月です。これは次回のお楽しみ。

 

話題を戻しましょう。遂にわが第一志望の最終選考です。言わずもがな役員面接でした。その中で気になった問答をいくつか公開。

〈その1〉

面接官「弊社の説明会には参加したことはありますか?」

私「エントリーシート通過後の説明会には参加しました」

面「合同説明会などでは?」

私「運悪く、私が参加した合同説明会には御社が出展されていませんでした」

 

〈その2〉

面「海外営業にも興味があると」

私「はい。チャンスがあれば是非携わってみたいと考えています」

面「海外留学のご経験がないとのことなのですが」

私「はい。しかし、海外留学の経験のある人と同じくらいに英語を使いこなせるように国内で勉強してきました」

面「国内で勉強していて、海外留学経験者に敵わないところはありませんか」

私「ないと思います。海外留学の最大の利点は、外国人の方と話す機会が十分にあることだと捉えています。一方で、私は空港でのボランティアなどを通して、いわゆる『生の英語』の中に身を置くことができましたので、遜色ない経験は積んできたと思っています」

 

〈その3〉

面「成績表を見ると、かなり専門科目に力を入れてきたようですが」

私「はい。学問を究めることだけを考えて大学の講義を受けてきました」

面「勉強第一だったのですか」

私「もちろん、大学では講義を最優先に考えて行動していました。とはいっても講義間の休憩などは大いに息抜きをするようにしました。講義の内容は講義の中だけで理解するようにしています」

面「ここまでの受け答えも立て板に水ですし、成績が優秀なのもいいのですが、ここまで切れる方だと、弊社では浮いてしまうかも」

 

……そして、最終面接で落ちてしまったとさ。

頑張ったのになあ。6月までに就活を終えるという目標は、この瞬間に潰えたのでした。

孤軍奮闘就活日記!(5月)

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こんにちは。

 

4月分までは、いくつかの会社について並行して話を進めることが多かったので、文量も多く更新頻度も低くなりがちでありました。

ここからは、毎月1つの企業に絞って、当月の選考の進行について書いていくことにします。その方が読みやすいし書きやすいからね。

 

さてさて。5月の企業は大手食品メーカーです。カレーで有名なあの企業ですよ。カレー以外で言うと、「ターメリックのパワー」(適度に和訳してください)とか出してますね。もう分かりましたね?

 

5月最初のイベントは、12日に行われたエントリーシート通過者対象の会社説明会でした。午前・午後の2回に参加者を分けた上、東京と大阪の2ヶ所で行われた説明会でしたが、それでも会場には3、400人を下らない人数が集まっていたように覚えています。さすが人気企業ですね。もちろん私はスーツを着ていきました。

ちなみに、エントリーシートを書く段階では深い企業研究は必要ないと思います。どうやらこの企業は合同説明会などにも参加していたようなのですが(これほど大きい企業なら当然だと思いますが私は知りませんでした)、エントリーシート通過後のこの説明会で十分に企業について知ることができます。(これについてはまた触れることになると思います)

 

確か2時間ほどの説明会だったと思いますが、若手社員の話なども含まれていたりして、非常に飽きない内容です。さらに付け加えると、参加している就活生がみんな明るいんですよ。私は3人掛けのテーブルの真ん中に座っていて、両隣が女の子だったのですが(モテモテかよ!)、2人ともニコニコしながら話しかけてきました。片方の女の子に至っては、「一緒に入社できればいいですね!」なんて無邪気な顔で言ってくるものですから、その瞬間にこの企業は第一志望になりましたよ。彼女とはこの1回しか会っていませんが、今頃どうしているんでしょう。ほんっとにかわいかったんだから。この子。

あっ、そうそう。ここでは、「スパイスクッキング」なる商品(商品名そのまま。ググれば出てきます)を2つもらいました。大手の食品メーカーに行くと、こういうのをもらえることが少なくありません。場合によっては、エントリーシートで落ちてもその企業の商品がもらえることもあります(代表例としてはカゴメが有名。私は応募していませんが…)。

 

そしてここからが選考の話。24日に1次選考がありました。例によってグループディスカッションです。1グループ5、6名ずつで話し合うものでした。試験室に入るときに、人事の方に名乗ろうとしたところ、それより早く「あっ、Penくんですね、お待ちしていました」と言われました。恐るべし大企業、応募者多数にも関わらず顔と名前が一致しているとは。

テーマは「海外に日本食を広めるためには」(みたいな感じ)でした。ちなみに、毎年同じようなテーマで来ているみたいですよ。「海外に日本のカレーを広めるためには」とか。

ただ、グループディスカッションというのは「運も実力のうち」の最たる例でございまして、メンバーがよくないとディスカッションの内容もとんでもないことになってしまいます。私のグループでは、序盤で「日本食をそれぞれの国の状況に合わせて値段を下げたり味を変えたりして普及させる」みたいな意見が大勢を占めてしまって、どんどん話がずれていってしまいました。

そこで手遅れになる前に「おいおい、待て待て」と言わんばかりに口を挟んだのが私です。

「初めから各国の土壌に合わせて普及させようとするのは少し違うのでは。例えば日本でタイ料理を食べようとする人は、タイ料理特有のスパイスの香りだったり独特の甘辛さだったりご飯の軽さだったりというものを求めているわけで、使うスパイスの種類を減らして味を穏やかにしたりタイ米ではなく日本米を使用したりしてしまっては意味がないと考えるはず。『海外に普及させる』というのは、『海外の人が当然のように食べることのできる日本食のあり方を確立する』という意味ではなくて『海外の人が"日本食ってああいう料理のことだよね"と分かる状態を作る』ということなのではないか。皆さんの意見を聞きたい」

この瞬間の他のメンバーの顔を見たら、全員私の敵みたいな表情をしていました。あたかも私がグループディスカッションクラッシャー*1であるかのような眼差しで。いや、私は出題意図を確認しようとしただけだからね? そんな目で睨まれる筋合いじゃないんだけど。

その後、話が再び序盤の内容に向かっていったので、私も仕方なくそこに乗っていくことにしました。やれやれ。

唯一の救いは、ディスカッション後のメンバーに対する試験官からのフィードバック。「うまく議論ができてよかったですね。(中略)ちなみに最初の頃にPenさんが指摘した『普及』の意味なんですけど、こちらとしてはPenさんが考えていたような意味で出題しました。ですから、Penさんは間違っていませんよ。グループ全体の考えをまとめるために一歩引いた点は更によかったですね」

へへーん。どやー。

 

で、この波乱万丈グループディスカッションの合否の連絡ですが、翌日にメールでやって来ました。早っ!

結果は1次選考通過。よしよし。2次選考は次週の同じ曜日、31日でした。それまでにA4片面に写真を最低1枚貼って「セルフプロモーションシート」なるものを作成しておけ、とのこと。要は自己PRシートですね。

 

私は「好奇心と探究心の深さ」を自己PR内容にしてみようと思い立ちました。小学校・中学校時代に、年1度開かれる「仙台市児童生徒理科作品展」で計7回受賞したことや、高校時代の柔道部での自己研鑽の様子、大学での専攻内容への関心の高さなどをアピールしてみようかな、と。3日かけて、用紙のレイアウトや話の内容などの構想を立てて、準備は抜かりなくしました。もう、件の商社の面接のようなことは繰り返しません。

 

そして2次選考当日。学生:面接官=3:1で実施されました。他の2人はそれぞれ「物怖じしない性格」「好きなことに懸ける努力を惜しまないこと」をアピールしていたように記憶しています。

各学生の自己PRに与えられた時間は1分間ずつ。タイマーを手渡され、「自分のタイミングでスタートボタンを押して始めてください。1分間は目安なので、多少早く終わっても遅く終わっても構いません」とのことでしたので、私も手元のタイマーを気にしつつうまくまとめました。小学生のころから人前で喋ることには慣れていたので、時間ピッタリに話し終えるのは容易なのです(今回2回目のどや顔)。

自己PRを終えたら面接官からそれぞれ内容について2、3質問され、あとは延々と逆質問*2の時間でした。意外とこういう面接もあるみたいですよ。逆質問をたくさんさせて、企業研究の度合いや企業への関心の高さを測るようです。

私はかなり準備していたので(誇張ではなく、図書館や書店で手に入る限りこの企業に関する書籍を読み漁りました)、いくらでも逆質問は思いつきます。どやぁ(3回目)。

 

2次選考の結果ですか? 翌日に連絡とのことでした。でも、この日の翌日は6月に入ってしまいますので、次回のお楽しみ。

*1:グループディスカッションにおいて、本論と外れたことを言ったり、メンバーの意見を何でもかんでも否定したりして議論を成り立たせなくする人のこと。

*2:学生から面接官への質問のこと。

孤軍奮闘就活日記!(4月)

集中連載『孤軍奮闘就活日記!』

3月」とこの記事の掲載が遅れたせいでPV数ががくっと落ちたけど自称大人気連載「孤軍奮闘就活日記!」の目次はこちら

 

こんにちは。PV数は気にせずいきましょう。

 

前回の記事にコメントをいただきました。コメント欄でそのお返事をいたしましたのでご覧下さい。

 

さて、遂に4月ですよ。フルーツポンチかフルーツパフェのような3月の就活盛りだくさんライフを過ごしてきた中で、私は2月にバイトを辞めたことを後悔し始めました。意外と就活にもお金がかかるものだったのです。交通費はもちろんのこと*1、お昼ごはんを食べるお金だのなんだのと、知らないうちにお金が飛んでいきました。

そこで4月から、お金の調達のためにアルバイトを始めました。約3年間続けた塾講師とはうってかわって、なんと100円ショップの店員のアルバイトです(なんと、というほどのことではないですね)。

そんなわけで、4月2日に初出勤。行ってみてビックリ、オバサンしかいないじゃん!その後、20代前半のフリーターが2人いることを知ったわけですが、それでも学生仲間がいないというのはなかなか寂しいものです。

 

続いて4月5日は年度初めの学科ガイダンスに出席。内容は「単位を取り終えても卒業できるかどうかは3月の卒業認定会議までは分からんよ」ということと「進路決まったら進路届を出せよ」ということでした。

「単位を取り終えても」というのには理由がありまして、私の学科は卒論がないので、3年までで卒業要件の単位を取り終えることができるのです(事実、私も3年生で要件単位数を充足しました)。法学部では卒論がないところが非常に多くあります。これは、医師国家試験を受けることが前提とされる医学部に卒論がないのと同じで、法学部には司法試験*2を受ける人が多いからなのです。

ま、私みたいに民間就職をする法学生がいるからおかしなことになっちゃうんですけどね。

 

それはさておき、大学の講義期間が始まっても就活は続いているわけでありまして。この頃はエントリーシートを書きまくっていました。実際に手帳を見返してみると、大手食品メーカーが揃いも揃って10社ほど、それに加えて大手酒造メーカー、大手おもちゃメーカーのエントリーシートの締切日が書かれています。中には2月でチラッと書いた高級洋菓子メーカーの名前もあります。2か月間忘れずに覚えていて、ちゃんと応募していたんですね。律儀者のPenくんです。

……その通り。私は気づかぬうちに遂に大手志向の渦に巻き込まれてしまっていたのでした。この後しばらく大手企業の選考を受けていくことになります。4月のこの血迷いがなければ、もしかするともっと早く就活を終えることができていたのかもしれません。

 

エントリーシートを書く一方で、面接もひとつ受けました。3月の記事で紹介した専門商社です。その記事で、この会社が人生初のエントリー、と書きましたが、面接も人生初ということになりました。以下、覚えている限りの面接の一部始終です。集団面接でしたが、私への質問だけを拾っていきますね。ちなみにこの面接に関しては、はなっからナメてかかっていたので(失礼)、面接の準備などせずに臨みました。

 

面接官「どうぞお掛けください」

私「失礼いたします」

面「本日面接官を務めます人事部の何とかと申します。では、大学・学部学科とお名前をお願いいたします」

私「~大学~学部法学科のPenと申します。よろしくお願いいたします」

面「よろしくお願いします。えー、早速ですが、自己PRをお願いします」

私(マジかよ、やっぱり面接ってのは準備しなきゃダメなんだな。何しゃべろうか。…そうだ。逆にこれはPRしきれない風でいこう。そもそも自己PRって自慢すりゃいいんだろ、自慢すりゃ)

 「えーと、PRさせていただきたい点は数多くあるのですが、ここでは私の英語についてお話したいと思います。まず、小さな頃から父から積極的に英語を教わってきた経緯もあり、英検2級は中学2年の時に取得しました。高校・大学では自分で英語のニュースサイトなどを閲覧して、ニュースクリップを観たりニュース本文を読んだりして能力アップに努めてきました。大学3年のときに英検1級を取得するとともに、TOEICは870点を保持しているところです。以上です」

面「分かりました。ところでPenさんは先月の説明会にスーツを着てきませんでしたね。何か理由はあったのですか?」

私「このような面接にきれいなスーツで臨みたいからです」

面「たとえ説明会のときに汚れてしまったとしても、クリーニングに出せばよいのでは?」

私(これが噂の圧迫面接というやつか?まあいい。いくらでも返してやるわ)

 「クリーニングについては私も考えています。むしろ、この面接が終わったらクリーニングに出そうと思っているほどです。さきほど『面接にきれいなスーツで臨みたい』と言ったこととも矛盾はなく、スーツは着るたびにクリーニングに出すつもりでいます。同様に、もしも私が説明会にスーツを着ていけば、その際にもクリーニングに出さずにはいられません。今後も面接回数を重ねていくことを考えると、それに加えて説明会後にもクリーニングに出してしまっては経済的にも厳しいですし、スーツも傷んでしまうと思います。ですから、説明会には申し訳ありませんがスーツは控えさせていただいたのです」

面「スーツを2着買えばよいのでは?」

私(うるせぇな)

 「私は学費の一部をアルバイト代で負担しています。そのような経緯がありながら、突然スーツを2着買いたいからという理由で両親に頼るわけにはいきません。逆に、これまで学費の一部を支払ってきたことから、私自身の貯金に余裕があるわけでもありません。従って、2着買うことは現実的ではありませんでした」

面「……。以上で面接を終わりますが、何かご質問はありますか」

私(落ちるだろうから自棄になってやる)

「なぜ、説明会にブレザーを着ていってはいけなかったのでしょうか。ネクタイも締め、スラックスに関しても至って質素だったと思うのですが」

面「だって、そんなもの説明会に着ていったらどこの会社でも咎められますよ?」

私「それがなぜなのか知りたいのです」

面「……。リクルートスーツというものがあるわけですから、就職活動をするときには着るものなのです」

私「分かりました。それでは、ビジネススーツでも咎められるということですね?」

面「スーツなら構いません」

私「分かりました。納得はしませんが次の時間の面接があると思いますのでこれ以上の質問は控えます」

面「お疲れさまでした」

私「ありがとうございました」(謎の笑顔で)

 

私とて態度を悪くして面接に臨んだのはこの1回だけですが(もちろんこの会社はここで落ちました)、これ以降の就活に活かすことのできる経験となりました。

まず、説明会とはいっても必ずスーツで臨むこと。そして、面接の準備はしっかりとしていくことです。文字にすると、当たり前すぎてなかなかバカっぽいですね。

実際に、2月の大学生協主催の合同説明会で話を聞いた高級洋菓子メーカーについても、合同説明会にブレザーで臨んだことを面接で指摘されました。未来の就活生たちには是非気をつけてもらいたいものです。

 

4月は他にも盛りだくさんだったのですが、とりあえず今回はここまでにしておきましょう。

次回は「5月」です。

*1:選考が進むにつれて、企業が交通費を払ってくれることもある。

*2:要は法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)になるための試験。ただし、現行の制度では学部を出て直接司法試験を受けることはできず、司法試験予備試験に合格するか法科大学院(ロースクール)に行かなくてはならない。いずれにせよ、司法試験を受ける前段階の試験の勉強が必要というわけ。